ポケモンGOプレー中の交通事故報道でゲーム名を出すのは当然のこと

大人気スマホゲームの「ポケモンGO」、面白いですね。
私も日本でのリリース直後からプレーしていますが、飽きもせず、いまだにやり続けています。

そんなポケモンGOにここ最近、気になるニュースが続いています。

 

www.jiji.com

www.yomiuri.co.jp


自動車の運転中にポケモンGOをプレーして、死亡事故を起こしてしまったというこれらの記事。
ポケモンGOスマホの位置情報を利用したゲームなので、移動手段があるとプレーに有利。そんな理由で、自動車や自転車など、移動しながらプレーする危険な人たちがいるようです。



ポケモン報道に物申す人たち


ここからが本題ですが、そんなポケモンGOの事故報道に対して、疑問を呈す人たちのツイートが賑わっています。
いっぱいありますが、代表的なものはこの辺でしょうか。

 

 

 

 

もちろん、ポケモンGOが社会現象になるほど話題のスマホゲームだから名前を出されている、という側面はあるかもしれませんが、ポケモンGOが位置情報を利用したゲームで、有利にプレーするための移動手段として自動車が使われる点を考えれば、ただの運転中のスマホ利用とは一線を画しているといえるのではないでしょうか。

bylines.news.yahoo.co.jp

 

「飲酒運転してもお酒の商品名は出ないのに」という意見がありましたが、それは至極当たり前のこと。アルコールの度合いを示すために酒の種類をニュースに載せることはありますが、「サントリーシングルモルト山崎12年を…」のように説明する必要は無いのですから。 その商品だけに事故を起こさせる独自な要因があるわけではないのに、それとポケモンGOプレー中の事故を同列に扱うのはあまりにも無理があります。

いままでにも位置情報ゲームは存在していましたが、ここまで一般に認知されたものはポケモンGOが初めてでしょう。モンストやドラクエのために自動車に乗る人はいませんが、ポケモンGOの場合は自動車に乗ることに明確なメリットがあり、ひいては「ポケモンGOが誘発した事故」と言えなくはないのです(もちろん全ての責任は運転者にあります)。

 

私もポケモンGOをプレーしているので、ポケモンGOを悪者にされるのは嫌ですが、だからといって的外れの擁護をしてマスコミ批判に捻じ曲げるのは筋違い。

こういう浅はかなポケモン擁護にうっかり同調してしまわないよう、気をつけたいものです。

 

イタリア代表バレーチームが漫画「ハイキュー!!」のポーズを真似た!はデマ

またまたリオ五輪に関する恥ずかしいデマが発生…

 

イタリア代表バレーボールチームが漫画を真似た?

 

おとといぐらいから話題になってるこれらのツイート。

 

 

 

 バレーボール漫画の「ハイキュー!!」の集合絵の構図をイタリア代表バレーボールチームが真似して写真を撮った、と話題になり、それぞれ多くのRTを集めていますが、これは真っ赤なウソ。

 

真相は

 

これはイタリアのイラストレーターIlaria Elettraさんが自国の代表チームの決勝進出を祝って描いたもので、イラストの方がイタリア代表チームを模したワケです。

上手なイラストですが、よく見れば公式絵とはちょっと違うのがお分かりだと思います。

 

 

 「awiweily」名義でtumblrにも投稿。

http://awiweily.tumblr.com/post/149232387852/yesterday-italys-male-volleyball-team-won

awiweily.tumblr.com

 

吉田選手の件といい、“他国の人に憧れてもらいたい欲”が恥ずかしいデマを生んでいるような気がします。。。

 

『「吉田沙保里を破ったアメリカ人の感動エピソードはデマ」はデマ』はデマ? 

情報が錯綜している女子レスリングの吉田沙保里選手とヘレン・マルーリス選手のエピソードについて、流れを追って整理してみました。

 

吉田沙保里とマルーリスの感動秘話」騒動の経緯 

リオ五輪女子レスリング53kg級の決勝戦後、ツイッターなどで「吉田沙保里とマルーリスの感動秘話」というツイートが話題に。

内容にいくつかのバリエーションがあるものの、問題になったのは「マルーリス選手の両親がレスリングを辞めさせようとした12歳の頃、アテネで吉田選手が金を獲り、それによって両親は娘に競技を続けることを許可した」系のもの。

 

f:id:chBBplus:20160819183451j:plain

 

 

これに対し、「アテネ五輪で吉田選手の優勝を見てレスリングを続けた」というソースはなく、ネット上にも見当たらない、と指摘するブログが登場。

 

 

しかし、Twitterなどを中心に「テレビで実況アナが実際言っていた」という反論を浴び、しばらくして該当のブログは非公開状態に。

これが「誤りを認めて逃げた」扱いとなり、「デマではなかった」と認定されることになりました。

ニュースサイトの「ねとらぼ」も、『「吉田沙保里を破ったアメリカ人の感動エピソードはデマ」はデマ』という手厳しい見出しではてなブログの内容を否定しています。

 

 

 

実況アナウンサーはなんと言っていた?

本当にマルーリス選手はアテネ五輪での吉田選手の金メダル獲得がきっかけでレスリングを続けられたのか?

実際、アナウンサーが紹介したエピソードは次の通り。(ねとらぼより引用)

ヘレン・マルーリス24歳。アテネオリンピック吉田沙保里の優勝のそのシーンをテレビで見ていました。いつか自分はその頂きへ。(中略)かつては、レスリングを止めようかと思った。両親の説得がありました。2004年。吉田沙保里が優勝したアテネ。その種目に採用されて両親は種目を、このレスリングを続けることを許可しました。

 

これは選手の入場時にアナウンサーが紹介したもので、gorin.jpのビデオ映像でも確認できます。 

www.gorin.jp

 

感動秘話の元になった箇所はこの部分だと思われます。

かつては、レスリングを止めようかと思った。両親の説得がありました。2004年。吉田沙保里が優勝したアテネ。その種目に採用されて両親は種目を、このレスリングを続けることを許可しました。

 

  

どう解釈するのが妥当か

よく読むとわかりますが、マルーリス選手の両親がレスリングを許可したのは、アテネ五輪で女子レスリングが正式種目に採用されたからであって、吉田選手の金メダル獲得が影響したかどうかは、この話からは窺えません。

この場面でアナウンサーが「吉田沙保里が優勝したアテネ」と発言したのは、あくまでアテネ五輪女子レスリングの補足説明にすぎないのです。

bizzfeedにも同様に、12歳の時のエピソードが紹介されていました。

www.buzzfeed.com

こちらでも、単に女子レスリングがアテネ五輪で正式採用されたことが競技を続けられた理由と紹介されています。

両親はレスリングを辞めさせようとしたが、12歳の時に女子レスリングがアテネ五輪で正式採用され、続けることができた。

 

マルーリス選手は吉田選手を憧れの選手と公言しており、この時の金メダル獲得が両親のレスリング許可の要因になった可能性は大いにありますが、それは憶測の域を出ず、それをあたかも直接の理由のように取り上げるのは不適切だといえます。

つまり、Tweetされていた感動秘話は不正確なもので、それを(言い方はきついですが)デマと断じたブログは正しかったのです。

そもそも、「アテネ五輪で正式種目に採用された」タイミングは「吉田選手がアテネで金を獲得」よりもずっと前ですよね。

 

 

 

騒動はなぜ起きた?

いくつかの原因があって、騒動につながったと考えます。

  • 実況アナがマルーリス選手の幼少期のエピソードの中に「吉田選手の金獲得」という言葉を入れたため誤解が生じた
  •  「2004年:マルーリスが競技をやめさせられそうだった」「時期不明:吉田選手にあこがれていた」という本来別々のタイミングと思われるエピソードが混線し、ひとつの物語になってしまった
  • 元々のはてなブログを否定する人たちの大部分が、その記事が伝えていた指摘ポイントを十分理解していなかった。
  • 元々のはてなブログの記事が「ネットで見当たらない」ことを否定の根拠としていたため、それに対する反感が募った(「ネットだけが事実だと思うな!」「ネットにない情報もある!」)。
  • ニュースサイト「ねとらぼ」まで尻馬に乗ってしまい、「実況アナが言っていた」というデマを広めてしまった(2900RT超え)

 結果的に、「吉田選手がアテネで優勝したことで12歳のマルーリス選手がレスリングを続けられた」という解釈は誤りで、実況アナウンサーの発言も、きちんと聞けばそのような意図でないことは分かるものでした。

しかし、アナウンサーの発言内容を把握しないまま、「アナウンサーが吉田とマルーリスのエピソードを紹介していたらしい」という部分だけが広がってしまい、それがいつしか「テレビで言っていたのだから間違いない」となり、デマ扱いしたブログに批判が集中し、圧殺してしまったように思います。

デマ呼ばわりしたブログをデマ呼ばわりで返すという構図の面白さが、批判に勢いをつけてしまった感もあります。

 

 

さいごに

必死になって否定するようなことでもないのですが、元々の間違いを指摘したブロガーさんがデマを振りまいたように扱われているのは気の毒なので、こんなエントリを作成しました。

吉田選手の功績について異を唱えるつもりもございません。

このエントリを踏まえ、デマだったのはどちらかをご再考いただければ幸いです。